7.4. キックスタートのオプション

キックスタートファイルには、次のオプションを記述することが できます。キックスタートファイルを作成するのにグラフィカル インターフェイスを使用する場合は、キックスタート 設定ツールアプリケーションを使用できます。 詳細については第8章 を参照してください。

注意注意
 

オプションの後にイコールマーク(=)が来る場合は、 その後に値を指定する必要があります。 例に上げているコマンドでは、角カッコ([ ])内のオプションは コマンド用のオプション引数です。

autostep (オプション)

interactiveと類似していますが、 このコマンドでは次の画面が自動的に表示されます。おもに デバッグに使用します。

auth または authconfig (必須)

システムに関する認証オプションをセットアップ します。インストール後に使うauthconfig コマンドと似ています。デフォルトでは、 パスワードは通常、暗号化され、シャドウ化はされま せん。

--enablemd5

ユーザーのパスワードにMD5暗号化を使います。

--enablenis

NISサポートを有効にします。 デフォルトでは、 --enablenisを指定するとネット ワーク上で見つかった任意のドメインが使用されます。 必ず--nisdomain=オプションで ドメインを手動で指定してください。

--nisdomain=

NISサービスに使うNISドメインの名前です。

--nisserver=

NISサービスに使うサーバーです(デフォルト ではブロードキャスト)。

--useshadow または --enableshadow

シャドウパスワードを使います。

--enableldap

/etc/nsswitch.conf内の LDAPサポートを有効にします。これによりシステムは ユーザーに関する情報(UID、ホームディレクトリ、シェル など)をLDAPディレクトリから取得できるようになります。 このオプションを使うには、nss_ldap パッケージをインストールする必要が あります。また、--ldapserver=--ldapbasedn=を使用して、 サーバーとベースDNの指定も必要です。

--enableldapauth

認証手段としてLDAPを使います。これにより LDAPディレクトリを使ってパスワードを認証、変更 するためのpam_ldapモジュール が有効になります。このオプションを使うには、 nss_ldapパッケージを インストールしておく必要があります。 --ldapserver=--ldapbasedn=を使用して、 サーバーとベースDNの指定も必要です。

--ldapserver=

--enableldapまたは --enableldapauthを指定した場合、 利用するLDAPサーバーの名前を指定するこのオプション を使用します。このオプションは、 /etc/ldap.confファイルで 設定します。

--ldapbasedn=

--enableldapまたは --enableldapauthを指定した場合、 ユーザー情報の格納場所であるLDAPディレクトリツリー におけるDN(識別名)。このオプションは /etc/ldap.confファイルで設定します。

--enableldaptls

TLS(Transport Layer Security)ルックアップを 使用します。このオプションによって、LDAPは認証前に 暗号化したユーザー名とパスワードをLDAPサーバーに 送信できます。

--enablekrb5

Kerberos 5を使ってユーザーを認証します。 Kerberos自体にはホームディレクトリ、UID、あるいは シェルという考え方はありません。したがって、 Kerberosを有効にする場合は、LDAP、NIS、Hesiodなども 有効に設定して、このワークステーションにユーザーの アカウントを認識させる必要があります。あるいは、 /usr/sbin/useraddコマンドを使用 して、ユーザーのアカウントをこのワークステーション に認識させます。このオプションを使う場合は、 pam_krb5パッケージを インストールしておく必要があります。

--krb5realm=

ワークステーションの所属先であるkerberos 5 のrealm(レルム)。

--krb5kdc=

realmへの要求に対してサービスを提供する KDC(複数可)。realm内に複数のKDCがある場合には、 名前をカンマ(,)で区切って指定します。

--krb5adminserver=

realmに属するKDCで、kadmindが動作している もの。このサーバーはパスワードの変更やその他の 管理関連要求を取り扱います。複数のKDCがある場合には、 このサーバーはマスターKDC上だけで実行しなければ なりません。

--enablehesiod

ユーザーのホームディレクトリ、UID、シェルを ルックアップするためのHesiodサポートを有効にします。 ネットワークでのHesiodの設定と使い方に関しての詳細 はglibcパッケージの /usr/share/doc/glibc-2.x.x/README.hesiod を参照してください。HesiodはDNSの 拡張機能であり、DNSレコードを使用してユーザーや グループなどの各種項目に関する情報を保存します。

--hesiodlhs

Hesiod LHS(Left-hand side)オプション。 /etc/hesiod.confで設定します。 このオプションは、Hesiodライブラリが情報を検索する 際に、DNSを検索するための名前を決定するときに 使用されます。LDAPによるベースDNの使用法と似て います。

--hesiodrhs

Hesiod RHS(Reft-hand side)オプション。 /etc/hesiod.confで設定します。 このオプションは、Hesiodライブラリが情報を検索する 際に、DNSを検索するための名前を決定するときに使用 されます。LDAPによるベースDNの使用法と似ています。

ティップヒント
 

「jim」のユーザー情報を検索するには、 Hesiodライブラリは jim.passwd<LHS><RHS> を検索します。これにより、ユーザーのpasswdエントリに 似たTXTレコード(jim:*:501:501:Jungle Jim:/home/jim:/bin/bash)が得られ ます。グループの場合も、 jim.group<LHS>><RHS> を使うこと以外は同じです。

番号によるユーザーとグループのルックアップ は、「jim.passwd」のCNAMEとして「501.uid」を 作成し、「jim.group」のCNAMEとして「501.gid」 を作成することによって処理されます。 ライブラリが検索対象の名前を決定するとき、 LHSとRHSの前にはピリオド[.]が ないことに注意してください。LHSとRHSは通常 ピリオドで始まります。

--enablesmbauth

SMBサーバー(通常、SambaまたはWindowsサーバー) に対するユーザーの認証を有効にします。SMB認証サポート にはホームディレクトリ、UID、あるいはシェルという 考え方はありません。したがって、SMB認証サポートを 有効にする場合は、LDAP、NIS、Hesiodなども有効に設定 して、このワークステーションにユーザーのアカウント を認識させる必要があります。あるいは、 /usr/sbin/useraddコマンドを使用して、 ユーザーのアカウントをワークステーションに認識 させます。このオプションを使うには、 pam_smbパッケージをインストールしておく 必要があります。

--smbservers=

SMB認証に使用するサーバー名。複数のサーバー を指定するには、名前をカンマ(,)で区切ります。

--smbworkgroup=

SMBサーバーのワークグループ名。

--enablecache

nscdサービスを有効に します。nscdサービスはユーザー やグループ、その他のさまざまなタイプの情報について の情報をキャッシュします。NIS、LDAP、Hesiodの いずれかを使用してネットワーク上でユーザーやグループ についての情報を配信するよう選択した場合、 キャッシュ化は特に便利です。

bootloader (必須)

ブートローダーのインストール方法と、 ブートローダーがLILOまたはGRUBのどちらであるかを 指定します。このオプションはインストールと アップグレードの両方に必要です。アップグレードでは --useLiloが指定されていなくて、 現在のブートローダーがLILOである場合、ブートローダー はGRUBに変更されます。アップグレードでLILOを保存 しておくには、bootloader --upgrade を使用します。

--append=

カーネルパラメータを指定します。 複数のパラメータを指定するには、パラメータ をスペースで区切ります。例えば、

bootloader --location=mbr --append="hdd=ide-scsi ide=nodma"
--location=

ブートレコードを書き込む場所を指定します。 有効な値は次のようになります。 mbr(デフォルト)、 partition(カーネルを収納している パーティションの最初のセクションにブートローダーを インストール)、または、none (ブートローダーをインストールしない)

--password=

GRUBを使用している場合、GRUBブートローダー パスワードをこのオプションで指定されているものに します。これはカーネルオプションが随意にパスできる GRUBシェルへのアクセスを制限するために使用される べきです。

--md5pass=

GRUBを使用している場合、パスワードがすでに 暗号化されていること以外は、--password= に似ています。

--useLilo

GRUBの代わりにLILOをブートローダーとして 使用します。

--linear

LILOを使用する場合、LILOのlinear オプションを使用します。これは下位互換を 目的としています(現在、デフォルトでlinearが使用 される)。

--nolinear

LILOを使用する場合、LILOのnolinear オプションを使用します。linearがデフォルト です。

--lba32

LILOを使用する場合、自動検出の代わりに lba32を強制的に使用します。

--upgrade

古いエントリを保存しながら、既存の ブートローダー設定をアップグレードします。 このオプションはアップグレードでのみ使用 できます。

clearpart (オプション)

新しいパーティションを作る前に、システムから パーティションを削除します。デフォルトでは、 パーティションは削除されません。

注意注意
 

clearpartコマンドが使用されると、 論理パーティションで--onpart コマンドが使用できなくなります。

--linux

Linuxパーティションがすべて消去されます。

--all

システムのすべてのパーティションが消去 されます。

--drives=

パーティションを消去するドライブを指定 します。例えば、以下のコマンドで、プライマリ IDEコントローラの最初の2つのドライブ上の パーティションを消去します。

clearpart --drives hda,hdb
--initlabel

ディスクラベルをアーキテクチャ用のデフォルト に初期化します(例、x86の場合はmsdos 、Itaniumの場合はgpt)。 このオプションを利用すれば、新しいハードディスク ドライブにインストールする場合、ディスクラベルを 初期化するかどうかを確認するメッセージがインストール プログラムによって表示されることはありません。

device (オプション)

ほとんどのPCIシステム上で、インストールプログラム によってイーサネットとSCSIカードは正しく自動検出 されます。しかし、古いシステムとPCIシステムの いくつかでは、キックスタートが正常にデバイスを 検索するには手がかりが必要になります。 インストールプログラムに余分のモジュールを インストールするよう指示するdevice コマンドは次のような形式になって います。

device <type> <moduleName> --opts=<options>

<type>

scsiか、 ethで入れ換えます。

<moduleName>

インストールすべきカーネルモジュールの名前 に入れ換えます。

--opts=

カーネルモジュールに渡すオプション。 複数のオプションを渡すときは、引用符で 囲みます。たとえば、次のようにします。

--opts="aic152x=0x340 io=11"
deviceprobe (オプション)

PCIバスの検出を強制的に実行し、検出されたすべての デバイスに対応するモジュールを、利用できる場合に、 ロードします。

driverdisk (オプション)

ドライバディスクはキックスタートインストール時に 使用できます。ドライバディスクの内容を、システムの ハードドライブ上にあるパーティションのルート ディレクトリにコピーする必要があります。次に、 driverdiskコマンドを使って、 インストールプログラムがドライバディスクを検索 する場所を指定します。

driverdisk <partition> [--type=<fstype>]

<partition>

ドライバディスクを収納しているパーティション です。

--type=

ファイルシステムタイプです (例、vfatまたはext2)。

firewall (オプション)

このオプションは、インストールプログラムの ファイアウォール設定に 相当します。

firewall <securitylevel> [--trust=] <incoming> [--port=]

<securitylevel>

次のセキュリティレベルの1つと入れ換えます。

  • --high

  • --medium

  • --disabled

--trust=

この一覧にデバイス(たとえばeth0など)を記述 すると、そのデバイスからのすべてのトラフィックは ファイアウォールを通り抜けることができます。複数の デバイスを記述するには、 --trust eth0 --trust eth1のよう に指定します。--trust eth0, eth1 のようにカンマで区切ることはできません。

<incoming>

次を1つまたはそれ以上で入れ換えて指定した サービスだけにファイアウォールを通過させます。

  • --dhcp

  • --ssh

  • --telnet

  • --smtp

  • --http

  • --ftp

--port=

ファイアウォールの通過を許可するポートを、 port:protocolの形式で指定します。たとえば、 IMAPアクセスがファイアウォールを通過できる ようにするには、imap:tcp と指定します。ポートを数値で直接指定すること もできます。たとえば、ポート1234上でUDPを 許可する場合は1234:udpと 指定します。ポートが複数ある場合は、 カンマで区切って指定します。

install (オプション)

システムに対し、既存システムをアップグレードする のではなく、新規にシステムをインストールするよう 指示します。これはデフォルトのモードです。 インストールのためには、cdromharddrivenfs url(ftp または http インストール用)の中からひとつインストールタイプを 指定する必要があります。install コマンドとインストール方法のコマンドは別々の行に 入力しなければなりません。

cdrom

システムの最初のCD-ROMドライブから インストールします。

harddrive

ローカルドライブ上のRed Hatインストールツリー からインストール。VFATまたはext2で なければなりません。

  • --partition=

    インストール元のパーティション (sdb2など)

  • --dir=

    インストールツリーのRedHat ディレクトリを含むディレクトリ

たとえば、

harddrive --partition=hdb2 --dir=/tmp/install-tree
nfs

指定した NFSサーバからインストール

  • --server=

    インストール元とするサーバー (ホスト名またはIP)

  • --dir=

    インストールツリーのRedHat ディレクトリを含むディレクトリ

たとえば、

nfs --server=nfsserver.example.com --dir=/tmp/install-tree
url

FTPまたはHTTP 経由でリモートサーバ上にある インストールツリーからのインストール

たとえば、

url --url http://<server>/<dir>

または、

url --url ftp://<username>:<password>@<server>/<dir>
interactive (オプション)

インストール時にキックスタートファイルで指定 された情報を使用しますが、与えられた値を検査し 変更することができます。インストールプログラムの 各画面にキックスタートファイルからの値が表示 されます。ボタンを クリックして値をそのまま使用するか、値を変更して ボタンをクリックし、 続行します。autostepも参照して ください。

keyboard (必須)

システムのキーボードタイプを設定します。 i386、Itanium、Alphaなどのマシン上で利用可能な キーボードの一覧を次に示します。

be-latin1, bg, br-abnt2, cf, cz-lat2, cz-us-qwertz, de,
de-latin1, de-latin1-nodeadkeys, dk, dk-latin1, dvorak, es, et,
fi, fi-latin1, fr, fr-latin0, fr-latin1, fr-pc, fr_CH, fr_CH-latin1,
gr, hu, hu101, is-latin1, it, it-ibm, it2, jp106, la-latin1, mk-utf,
no, no-latin1, pl, pt-latin1, ro_win, ru, ru-cp1251, ru-ms, ru1, ru2, 
ru_win, se-latin1, sg, sg-latin1, sk-qwerty, slovene, speakup, 
speakup-lt, sv-latin1, sg, sg-latin1, sk-querty, slovene, trq, ua, 
uk, us, us-acentos

また、 /usr/lib/python2.2/site-packages/rhpl/keyboard_models.pyもこのリストを含みます。このファイルはrhplパッケージの一部です。

lang (必須)

インストール時に使用する言語を設定します。 たとえば、キックスタートファイルに次の行を 記述すると、言語は英語に設定されます。

lang en_US

/usr/share/redhat-config-language/locale-list は各行の最初のコラムに有効な言語コードの一覧を提供するファイルで、 redhat-config-languagesパッケージの一部です。

langsupport (必須)

システムにインストールする言語を設定します。 langで使用した言語コードと同じ 言語コードをlangsupportでも使用 できます。

1つの言語をインストールするには、その言語を指定 します。たとえば、フランス語fr_FR をインストールして使用する例を次に示します。

langsupport fr_FR

--default=

複数言語のサポートをインストールする場合は、 デフォルトが識別されなければなりません。

例えば、英語とフランス語をインストールし、英語を デフォルト言語として使用するには、

langsupport --default=en_US fr_FR

--defaultに言語をひとつだけ 付けて使用すると、すべての言語がインストールされて 指定した言語をデフォルトに設定します。

lilo (bootloaderに入れ替わりました。)

警告警告
 

このオプションに代わって、bootloader が使用されるようになりました。 このオプションは、下位互換の目的でのみ使用できます。 bootloaderを参照してください。

ブートローダーをインストールする方法を指定します。 デフォルトでは、LILOが最初のディスクのMBRに インストールされ、またDOSパーティションが検出されると デュアルブートシステムをインストールします (DOS/Windowsシステムは、LILO: プロンプトでdos と入力すれば起動されます)。

--append <params>

カーネルパラメータを指定します。

--linear

LILOのlinearオプションを 使用します。これは下位互換を目的としています (現在はデフォルトでlinearが使用されます)。

--nolinear

LILOのnolinearオプション を使用します。現在はデフォルトでlinearが 使用されます。

--location=

LILOブートレコードを書き込む場所を指定 します。有効な値は、mbr (デフォルト)か、partition (そのカーネルが含まれるパーティションの 最初のセクタにブートローダーをインストール) です。locationを指定しないと、LILOは インストールされません。

--lba32

自動検出の代わりにlba32モードを強制的に 使用します。

lilocheck (オプション)

lilocheckを指定すると、 インストールプログラムは最初のハードドライブのMBR上 のLILOをチェックし、見つかった場合はシステムを 再起動します。— この場合、インストールは 実行されません。このオプションを指定しておけば、 インストールされているシステムがキックスタート によって再インストールされてしまうといった事態 は避けられます。

logvol (オプション)

次の構文を使用して、論理ボリューム管理(LVM)用の 論理ボリュームを作成します。

logvol mountpoint --vgname=name --size=size --name=name

先ず、パーティションを作成して、論理ボリューム グループを構成します。それから、論理ボリュームを 作成します。例えば、

part pv.01 --size 3000
volgroup myvg pv.01
logvol / --vgname=myvg --size=2000 --name=rootvol
mouse (必須)

GUIモードとテキストモードの両方に対して、 マウスを設定します。オプションは、

--device=

マウスの接続先デバイス (--device=ttyS0など)

--emulthree

このオプションを指定すると、X Window System は、左右のマウスボタンの同時クリックを中央 ボタンのクリックとしてエミュレートします。 2ボタンマウスを使っている場合に指定する 必要があります。

オプションに続けて、次のようなマウスタイプを 指定することができます。

alpsps/2, ascii, asciips/2, atibm, generic, generic3, genericps/2, 
generic3ps/2, genericwheelps/2, genericusb, generic3usb, genericwheelusb, 
geniusnm, geniusnmps/2, geniusprops/2, geniusscrollps/2, geniusscrollps/2+, 
thinking, thinkingps/2, logitech, logitechcc, logibm, logimman, 
logimmanps/2, logimman+, logimman+ps/2, logimmusb, microsoft, msnew, 
msintelli, msintellips/2, msintelliusb, msbm, mousesystems, mmseries, 
mmhittab, sun, none

このリストはrhplパッケージの 一部である/usr/lib/python2.2/site-packages /rhpl/mouse.pyファイルにもあります。

引数なしでmouseコマンドを指定する場合、または mouseコマンドを省略した場合は、インストール プログラムによりマウスを自動検出します。最近の マウスであればほとんどは検出されます。

network (オプション)

システムのネットワーク情報を設定します。 キックスタートインストールでネットワークの使用が 必要ない場合(つまり、NFS、HTTP、FTP経由でインストール しない場合)は、システムのネットワークは設定され ません。インストールでネットワークの使用が必要とされ 、ネットワーク情報がキックスタートファイルに指定 されていない場合、Red Hat Linuxインストールプログラムは、 eth0を経由し、動的IPアドレス(BOOTP/DHCP)を使用して インストールするものとみなし、最終的にインストール されたシステムがIPアドレスを動的に決定するように 設定します。このnetworkコマンドは、 ネットワーク経由のキックスタートインストール及び、 最終的にインストールされるシステムのネットワーク 情報を設定するものです。

--bootproto=

dhcpbootp static の内のいずれかを入力。

デフォルトはdhcpですが、 bootpdhcp は同じ物として扱われます。

DHCP手法は、DHCPサーバを使用してそのネット ワーク設定を取得します。想像できる通り、 BOOTP手法も同様のもので、BOOTPサーバを 利用してそのネットワーク設定を取得します。 システムにDHCP使用を指示するには、

network --bootproto=dhcp

システムがBOOTPを使ってネットワーク設定を 取得するよう指定するには、キックスタート ファイルで次の行を使います。

network --bootproto=bootp

静的IPアドレスを使う場合は、必要なネット ワーク情報をすべてキックスタートファイルに 記述しておく必要があります。名前のとおり この情報は静的であり、インストール中だけで なくインストール後も使われます。1行に全ての ネットワーク設定情報を含む必要があるため、 静的ネットワークの行はより複雑になります。 IPアドレス、ネットマスク、ゲートウェイ、 ネームサーバを指定する必要があります。 例えば、(\は全てが1行に入ることを示します。)

network --bootproto=static --ip=10.0.2.15 --netmask=255.255.255.0 \
--gateway=10.0.2.254 --nameserver=10.0.2.1

静的アドレスを使う場合、次の2つの制約がある ことに注意してください。

  • 静的なネットワーク設定情報のすべては 1行で指定しなければ なりません。たとえば、バックスラッシュ(\) を使って改行することはできません。

  • ここでは、ネームサーバはひとつだけの指定 になります。しかし、必要ならキックスタート ファイルの%postセクション (項7.7での 解説を参照)を使用して、ネームサーバを追加 することができます。

--device=

インストール時に使用するイーサネットデバイス の選択に使用します。インストールプログラムは ネットワークを設定してキックスタートファイル を検索するので、キックスタートファイルが ローカルファイル(ks=floppy など)でなければ--device=の 使用は、無意味であることに注意してください。 例えば、

network --bootproto=dhcp --device=eth0
--ip=

インストール先コンピュータのIPアドレス。

--gateway=

デフォルトのゲートウェイのIPアドレス。

--nameserver=

プライマリネームサーバーのIPアドレス。

--nodns

DNSサーバーは設定しません。

--netmask=

インストールされるシステムのネットマスク。

--hostname=

インストールされるシステムのホスト名。

part または、partition (インストールには必須、アップグレードでは無視)

システムにパーティションを作成します。

システムの別々のパーティションに複数のRed Hat Linux インストールが存在する場合、インストールプログラムは ユーザーにどのインストールをアップグレードするか 聞いてます。

警告警告
 

--noformat--onpart が使用されない限り、作成されるパーティション はすべてインストール過程の一部としてフォーマット されます。

<mntpoint>

<mntpoint> は、パーティションがマウントされる場所で次の どれかの形態でなければなりません。

  • /<path>

    例えば、 //usr/home

  • swap

    このパーティションはswap領域として 使用されます。

    スワップパーティションの容量を自動的に 決めるには--recommended オプションを使用します。

    swap --recommended

    自動的に生成されるswapパーティションの 最小サイズは、システムのRAMの容量よりも 大きく、その2倍を超えることはありません。

  • raid.<id>

    このパーティションはソフトウェアRAID (raidを参照)用に使用されます。

  • pv.<id>

    このパーティションは LVM (logvolを参照)用に使用されます。

--size=

パーティションの最小サイズを、メガバイト 単位で入力します。「500」など、整数のみで指定 します。数字の後ろにMBを付けないでください。

--grow

(もしあれば)最大許容量までパーティションを拡張 する、または、指定限度サイズまで拡張するよう に指示します。

--maxsize=

パーティションを拡張するように設定する場合に、 最大パーティションサイズをメガバイト単位で 入力します。整数を使って指定し、数字の後ろに MBを付けないでください。

--noformat

--onpartコマンドを使用する 場合、インストールプログラムに対して、 パーティションをフォーマットしないように 指示します。

--onpart=あるいは --usepart=

パーティションをすでに存在している デバイス上に設定します。例えば、

partition /home --onpart=hda1

これで/homeパーティションを すでに存在する/dev/hda1デバイス 上に設定しました。

--ondisk=または --ondrive=

パーティションが特定のディスク上に作成される ように強制します。例えば、 --ondisk=sdbは、システム上 の2番目のSCSI ディスクにパーティションを設定 します。

--asprimary

プライマリパーティションとして自動 アロケーションを強制的に実行します。 実行できなければパーティション設定の失敗 になります。

--bytes-per-inode=

指定された番号は、作成された時点のファイル システム上のinode単位のバイト数を示します。 10進法で示す必要があります。このオプションは、 ファイルシステム上のinodeの数を増やしたい アプリケーションがあるときに役に立ちます。

--type= (fstypeに入れ換えられました)

このオプションは使用できません。 fstypeを使用してください。

--fstype=

パーティション用のファイルシステムタイプ を設定します。有効な値は、 ext2ext3swapvfatです。

--start=

パーティションの開始シリンダを指定します。 ドライブを--ondisk=または ondrive=で指定する必要が あります。また、終了シリンダを --end=で指定するか、 パーティションサイズを--size= で指定する必要があります。

--end=

パーティションの終了シリンダを指定します。 開始シリンダを--start=で 指定する必要があります。

--badblocks

パーティションに不良セクタがないかを チェックするように指定します。

注意注意
 

何らかの理由でパーティションの設定ができなかった 場合には、診断メッセージが仮想コンソール3で表示 されます。

raid (オプション)

ソフトウェアRAIDデバイスを構成します。このコマンド の形式は次のとおりです。

raid <mntpoint> --level=<level> --device=<mddevice> <partitions*>

<mntpoint>

RAIDファイルシステムをマウントする位置です。 これを「/」とした場合は、 ブートパーティション(/boot) が存在しない限り、RAIDレベルは1でなければ なりません。ブートパーティションが 存在する場合は、/boot パーティションがレベル1でなければならず、 ルート(「/」)パーティション のタイプはどれでもかまいません。 <partitions*> (複数パーティションを列挙できることを表す)は、 RAIDアレイに追加するRAID識別子を列挙します。

--level=

使用する RAIDのレベル (0、1、または、5)。

--device=

使用するRAIDデバイスの名前(md0やmd1など)。 RAIDデバイスの範囲はmd0からmd7まであり、 それぞれ1度だけ使用することができます。

--spares=

RAIDアレイに割り当てられたスペアドライブの数を 指定します。スペアドライブはドライブが故障した 場合にアレイを再構築するために使用します。

--fstype=

RAIDアレイのファイルシステムタイプを設定します。 有効な値は、ext2、ext3、swap、vfatです。

--noformat

RAIDアレイをフォーマットしません。

次に示すのは、「/」に RAIDレベル1のパーティションを作成する方法、 /usrにRAIDレベル5のパーティション を作成する方法の例です。このシステムには3つのSCSI ディスクがあるものとします。また、各ドライブ上にswap パーティションをひとつずつ、計3つ作ります。

part raid.01 --size=60 --ondisk=sda
part raid.02 --size=60 --ondisk=sdb
part raid.03 --size=60 --ondisk=sdc
part swap --size=128 --ondisk=sda 
part swap --size=128 --ondisk=sdb 
part swap --size=128 --ondisk=sdc
part raid.11 --size=1 --grow --ondisk=sda 
part raid.12 --size=1 --grow --ondisk=sdb 
part raid.13 --size=1 --grow --ondisk=sdc
raid / --level=1 --device=md0 raid.01 raid.02 raid.03 
raid /usr --level=5 --device=md1 raid.11 raid.12 raid.13
reboot (オプション)

インストールの完了後に再起動します(引数はありません)。 通常、キックスタートはメッセージを表示して待機し、 ユーザーがキーを押すと再起動します。

rootpw (必須)

システムのrootパスワードを <password>引数で 指定します。

rootpw [--iscrypted] <password>

--iscrypted

これを設定すると、引数のパスワードはすでに 暗号化されているものとみなされます。

skipx (オプション)

このオプションを指定すると、インストール先のシステム 上にXは設定されません。

text (オプション)

キックスタートインストールをテキストモードで実行 します。デフォルトでは、キックスタートインストールは グラフィカルモードで実行されます。

timezone (必須)

システムのタイムゾーンを <timezone>に設定します。 timeconfigで一覧表示される タイムゾーンならどれでも使うことができます。

timezone [--utc] <timezone>

--utc

これを指定すると、ハードウェアクロックがUTC (グリニッジ標準)時間に合わせて設定されている ものとみなされます。

upgrade (オプション)

システムに対し、新規システムのインストールではなく、 既存システムをアップグレードするように指示します。 インストールツリーの場所としてcdrom、ハードドライブ、 nfs, あるいは url(ftp や http用)のどれかを指定する 必要があります。詳細はinstallを ご覧ください。

xconfig (オプション)

X Window Systemを設定します。このオプションを指定 しないと、Xをインストールする場合のインストール中に 手動でXを設定する必要があります。最終的にXをシステムに インストールしない場合は、このオプションを指定しないで ください。

--noprobe

モニタの検証を行いません。

--card=

指定したカードを使用します。このカードの名前は、 hwdataパッケージ内の /usr/share/hwdata/Cardsのカード一覧から 指定します。この一覧はキックスタート設定 X の設定 画面にもあります。この引数が指定されていない場合、 インストールプログラムは PCIバスのカードを検証します。 AGPはPCIバスの一部なので、AGPカードはサポートされて いれば検出されます。検証順序はマザーボードのPCIスキャン 順序によって決まります。

--videoram=

ビデオカードのビデオRAM容量を指定します。

--monitor=

指定したモニタを使用します。このモニタの名前は、 hwdataパッケージ内の /usr/share/hwdata/MonitorsDBのモニタ一覧 から指定します。この一覧はキックスタート設定 X Configuration画面 にもあります。--hsync または--vsyncが指定されていると この引数は無視されます。モニタ情報を指定しないと、 インストールプログラムによってモニタは自動的に検証 されます。

--hsync=

モニタの水平同期周波数を指定します。

--vsync=

モニタの垂直同期周波数を指定します。

--defaultdesktop=

デフォルトのデスクトップをGNOMEまたはKDEに 設定します(%packagesによって GNOMEまたはKDEのデスクトップ環境がインストール されていることが前提)。

--startxonboot

インストールされたシステムでグラフィカル ログインを使います。

--resolution=

インストールされたシステムでのX Window System のデフォルト解像度を指定します。有効な値は、 640x480、800x600、1024x768、1152x864、 1280x1024、1400x1050、1600x1200です。 ビデオカードやモニタと互換性のある解像度を 指定するようにしてください。

--depth=

インストールされたシステムでのX Window System のデフォルトの色の深さを指定します。有効な値は 8、16、24、32です。ビデオカードやモニタと互換性 のある色の深さを指定するようにしてください。

volgroup (optional)

論理ボリューム管理(LVM)グループを次の構文で作成する のに使用します。

volgroup name partition

先ず、パーティションを作成して、論理ボリューム グループを構成します。それから、論理ボリュームを 作成します。例えば、次のようにします。

part pv.01 --size 3000
volgroup myvg pv.01
logvol / --vgname=myvg --size=2000 --name=rootvol
zerombr (オプション)

zerombryesを 単一引数として指定すると、ディスク上にある不正な パーティションテーブルはすべて初期化されます。 その場合、不正なパーティションテーブルがあるディスクの 内容はすべて破棄されます。このコマンドは、次の形式で 使います。

zerombr yes

この書式でのみ有効です。

%include

%include /path/to/file コマンドを使用し、キックスタート ファイルの%includeコマンドの場所に 内容があったかのように、キックスタートファイルにある 別のファイルの内容を含めます。