第 26章システム情報の収集

システム設定の方法を考える前に、まず基本的なシステム情報を 収集する方法を考えなければいけません。たとえば、未使用の メモリがどれだけ残っているか、ハードディスクドライブの使用 可能なスペースの大きさはどの程度か、ハードディスクドライブの パーティションがどうなっているか、どんなプロセスが作動して いるかといったことを知っておく必要があります。この章では、 いくつかの簡単なコマンドやプログラムを使ってRed Hat Linuxシステム からこのような情報を収集する方法を説明します。

26.1. システムプロセス

ps axコマンドは、現在動いているシステム プロセスを、ほかのユーザーが所有するものも含めて一覧にして 表示します。プロセスの所有者も表示したいときは、 ps auxコマンドを使います。この一覧は静的です。 つまり、このコマンドを実行したときに作動しているものの状態を 表しているだけです。実行プロセスの一覧を継続的に更新したい 場合は、のちほど説明するtopコマンドを 使います。

ps出力は長くなる可能性があります。 画面外へスクロールするのを防ぐために、パイプを使用して lessで表示することができます。

ps aux | less

psコマンドとgrep コマンドを組み合わせて使用すると、あるプロセスが動いているか どうかを調べることができます。例えば、emacs が実行されているかを調べるには、次のコマンドを 使用します。

ps ax | grep emacs

topコマンドは、現在動作中のプロセスを 表示します。これには、メモリやCPU使用率などの重要な情報も 含まれています。一覧はリアルタイムでインタラクティブです。 次に示すのは、topの出力表示例です。

 00:53:01  up 6 days, 14:05,  3 users,  load average: 0.92, 0.87, 0.71
71 processes: 68 sleeping, 2 running, 1 zombie, 0 stopped
CPU states:  18.0% user   0.1% system   16.0% nice   0.0% iowait  80.1% idle
Mem:  1030244k av,  985656k used,   44588k free,       0k shrd,  138692k buff
                    424252k actv,   23220k in_d,  252356k in_c
Swap: 2040212k av,  330132k used, 1710080k free                  521796k cached

  PID USER     PRI  NI  SIZE  RSS SHARE STAT %CPU %MEM   TIME COMMAND
15775 joe        5   0 11028  10M  3192 S     1.5  4.2   0:46 emacs
14429 root      15   0 63620  62M  3284 R     0.5 24.7  63:33 X
17372 joe       11   0  1056 1056   840 R     0.5  0.4   0:00 top
17356 joe        2   0  4104 4104  3244 S     0.3  1.5   0:00 gnome-terminal
    1 root       0   0   544  544   476 S     0.0  0.2   0:06 init
    2 root       0   0     0    0     0 SW    0.0  0.0   0:00 kflushd
    3 root       1   0     0    0     0 SW    0.0  0.0   0:24 kupdate
    4 root       0   0     0    0     0 SW    0.0  0.0   0:00 kpiod
    5 root       0   0     0    0     0 SW    0.0  0.0   0:29 kswapd
  347 root       0   0   556  556   460 S     0.0  0.2   0:00 syslogd
  357 root       0   0   712  712   360 S     0.0  0.2   0:00 klogd
  372 bin        0   0   692  692   584 S     0.0  0.2   0:00 portmap
  388 root       0   0     0    0     0 SW    0.0  0.0   0:00 lockd
  389 root       0   0     0    0     0 SW    0.0  0.0   0:00 rpciod
  414 root       0   0   436  432   372 S     0.0  0.1   0:00 apmd
  476 root       0   0   592  592   496 S     0.0  0.2   0:00 automount

topコマンドを終了するには、[q ]キーを押します。

以下は、topコマンドの動作中に使える、 便利なコマンドです。

コマンド説明
[Space]すぐに表示を更新します
[h]ヘルプ画面を表示します
[k]プロセスをkillします。プロセスIDとそれに送る 信号を要求されます。
[n]表示されるプロセスの数を変更します。 数を入力するように要求されます。
[u]ユーザーの順に並べます。
[M]メモリ使用量の順に並べます。
[P]CPU使用率の順に並べます。

表 26-1. インタラクティブなtopのコマンド

ティップヒント
 

Mozilla Nautilusなどのアプリケーションは、 スレッド認知します。— 複数のスレッドが 複数のユーザーまたは複数の要求を取り扱うために作成され、 各スレッドにはプロセスIDが与えられます。デフォルトでは、 pstopはメイン(初期) のスレッドのみ表示します。すべてのスレッドを表示するには、 ps -mコマンドを使用するか、または topの中で[Shift][H] のキーの組み合わせを押します。

topをグラフィカルインターフェイス で使いたい場合は、GNOME システムモニタ を利用できます。デスクトップで起動するには、 (パネル上の)メインメニューボタン => システムツール => システムモニタと進むか、または、X Window System 内のシェルプロンプトでgnome-system-monitor とタイプします。そして、プロセス一覧 タブを選択します。

GNOMEシステムモニタを使用すると、 起動中のプロセス一覧でプロセスの検索ができ、また、すべての プロセス、自分のプロセス、またはアクティブなプロセスを表示 できます。

プロセスについての詳細を見るには、そのプロセスを選択 して、詳細情報ボタンをクリックします。 プロセスに関する詳細がウィンドウの底辺に表示されます。

プロセスを停止するには、それを選択してプロセスの 終了をクリックします。この機能は、ユーザー入力に 応答しなくなったプロセスに役に立ちます。

特定の欄で情報別に分類するには、その欄の名前をクリック します。情報が分類された欄が濃い灰色で提示されます。

デフォルトでは、GNOMEシステムモニタ はスレッドを表示しません。この設定を変更する には、編集 => Preferences と選択して、プロセス一覧 タブをクリックします。そしてスレッドを表示する を選択します。また、Preferencesでは更新時間、 デフォルトで各プロセスについて表示する情報のタイプ、 システムモニタグラフの色などの設定もできます。

図 26-1. GNOME システムモニタ