カーネルに関するよく使用される情報のグループは/procディレクトリ内のディレクトリと サブディレクトリにグループ分けされます。
各/procディレクトリには番号名の付いた多くのディレクトリがあります。 この一覧の開始は次のようになります:
dr-xr-xr-x 3 root root 0 Feb 13 01:28 1 dr-xr-xr-x 3 root root 0 Feb 13 01:28 1010 dr-xr-xr-x 3 xfs xfs 0 Feb 13 01:28 1087 dr-xr-xr-x 3 daemon daemon 0 Feb 13 01:28 1123 dr-xr-xr-x 3 root root 0 Feb 13 01:28 11307 dr-xr-xr-x 3 apache apache 0 Feb 13 01:28 13660 dr-xr-xr-x 3 rpc rpc 0 Feb 13 01:28 637 dr-xr-xr-x 3 rpcuser rpcuser 0 Feb 13 01:28 666 |
これらのディレクトリは、プロセスのIDを示し、そのプロセス固有の情報を保存しているので、 プロセスディレクトリと呼ばれます。各プロセスディレクトリの所有者と グループはプロセスを実行しているユーザーに設定されます。プロセスが終了すると、その /procプロセスディレクトリは消えます。
各プロセスディレクトリには次のファイルがあります:
cmdline — プロセスを開始する時に発行されるコマンドを含みます。
cpu — システムの各CPUの使用率についての固有情報を提供します。 デュアルCPUシステム上で実行されているプロセスの出力は次のようになります:
cpu 11 3 cpu0 0 0 cpu1 11 3 |
cwd — そのプロセスで現在動作しているディレクトリへのシンボリックリンク。
environ — プロセスの環境変数の一覧を提供します。環境変数は すべて大文字で値は小文字です。
exe — このプロセスの実行可能ファイルへのシンボリックリンク。
fd — 特定プロセスのファイル記述子すべてが保存されているディレクトリ。 これらは番号の付けられたリンクで提示されます:
total 0 lrwx------ 1 root root 64 May 8 11:31 0 -> /dev/null lrwx------ 1 root root 64 May 8 11:31 1 -> /dev/null lrwx------ 1 root root 64 May 8 11:31 2 -> /dev/null lrwx------ 1 root root 64 May 8 11:31 3 -> /dev/ptmx lrwx------ 1 root root 64 May 8 11:31 4 -> socket:[7774817] lrwx------ 1 root root 64 May 8 11:31 5 -> /dev/ptmx lrwx------ 1 root root 64 May 8 11:31 6 -> socket:[7774829] lrwx------ 1 root root 64 May 8 11:31 7 -> /dev/ptmx |
maps — このプロセスに関連するさまざまな実行可能ファイルと ライブラリファイルへのメモリマップが保存されています。このファイルはプロセスの複雑度によってかなり 長くなる場合があります。sshdプロセスのサンプル出力は次のように開始されます:
08048000-08086000 r-xp 00000000 03:03 391479 /usr/sbin/sshd 08086000-08088000 rw-p 0003e000 03:03 391479 /usr/sbin/sshd 08088000-08095000 rwxp 00000000 00:00 0 40000000-40013000 r-xp 00000000 03:03 293205 /lib/ld-2.2.5.so 40013000-40014000 rw-p 00013000 03:03 293205 /lib/ld-2.2.5.so 40031000-40038000 r-xp 00000000 03:03 293282 /lib/libpam.so.0.75 40038000-40039000 rw-p 00006000 03:03 293282 /lib/libpam.so.0.75 40039000-4003a000 rw-p 00000000 00:00 0 4003a000-4003c000 r-xp 00000000 03:03 293218 /lib/libdl-2.2.5.so 4003c000-4003d000 rw-p 00001000 03:03 293218 /lib/libdl-2.2.5.so |
mem — プロセスが保持しているメモリ。 このファイルはユーザーから読み取れません。
root — プロセスのルートディレクトリへのリンク。
stat — プロセスのステータス。
statm — プロセスが使用しているメモリのステータス。 /proc/statmファイルの例は次のとおりです:
263 210 210 5 0 205 0 |
7つの列はプロセスの異なるメモリ統計情報に関連しています。表示されている順に、 左から右に使用メモリの異なる側面をレポートしています:
プログラム合計サイズ。Kバイト単位。
メモリ部分のサイズ。Kバイト単位。
共有ページ数。
コードのページ数。
データ/スタックのページ数。
ライブラリのページ数。
ダーティなページ数。
status — statやstatmより はるかに読みやすい形式でプロセスのステータスを提供します。sshdの出力例は次のとおりです:
Name: sshd State: S (sleeping) Tgid: 797 Pid: 797 PPid: 1 TracerPid: 0 Uid: 0 0 0 0 Gid: 0 0 0 0 FDSize: 32 Groups: VmSize: 3072 kB VmLck: 0 kB VmRSS: 840 kB VmData: 104 kB VmStk: 12 kB VmExe: 300 kB VmLib: 2528 kB SigPnd: 0000000000000000 SigBlk: 0000000000000000 SigIgn: 8000000000001000 SigCgt: 0000000000014005 CapInh: 0000000000000000 CapPrm: 00000000fffffeff CapEff: 00000000fffffeff |
この出力の中の情報には、プロセスの名前とIDのほか、ステータス(S (sleeping)、 R(running)、プロセスなどを実行しているユーザー/グループID、 メモリ使用率に関する詳細が含まれています。
このディレクトリには、システムで利用できるさまざまなバス固有情報が保存されています。 したがって、たとえばISA、PCI、USBバスを搭載した標準的なシステムでは、各バスについての 現在のデータが/proc/bus/のディレクトリで入手できます。
利用できるサブディレクトリとファイルの内容は、システムの厳密な設定によって大幅に異なります。 ただし、各バスタイプの各ディレクトリには、そのタイプの各バスにつき少なくとも1つの ディレクトリがあります。これらの個々のバスディレクトリは通常、00 などの数字で表し、そこにはそのバスで使用できるさまざまなデバイスに関するバイナリファイルがあります。
したがって、たとえば、USBバスを搭載しているが、USBデバイスは接続していないシステムには、 いくつかのファイルの入った/proc/bus/usbディレクトリがあります:
total 0 dr-xr-xr-x 1 root root 0 May 3 16:25 001 -r--r--r-- 1 root root 0 May 3 16:25 devices -r--r--r-- 1 root root 0 May 3 16:25 drivers |
/proc/bus/usbディレクトリには、USBバス上のさまざまなデバイスを追跡するファイルと それを使用する必要のあるドライバがあります。/proc/bus/usb/001ディレクトリには最初の USBバス上のすべてのデバイスがあります。devicesファイルの内容を見ると、これは マザーボードのUSBルートハブであることがわかります:
T: Bus=01 Lev=00 Prnt=00 Port=00 Cnt=00 Dev#= 1 Spd=12 MxCh= 2 B: Alloc= 0/900 us ( 0%), #Int= 0, #Iso= 0 D: Ver= 1.00 Cls=09(hub ) Sub=00 Prot=00 MxPS= 8 #Cfgs= 1 P: Vendor=0000 ProdID=0000 Rev= 0.00 S: Product=USB UHCI Root Hub S: SerialNumber=d400 C:* #Ifs= 1 Cfg#= 1 Atr=40 MxPwr= 0mA I: If#= 0 Alt= 0 #EPs= 1 Cls=09(hub ) Sub=00 Prot=00 Driver=hub E: Ad=81(I) Atr=03(Int.) MxPS= 8 Ivl=255ms |
このディレクトリにはカーネルが使用する特定のドライバについての情報があります。
一般的にここにあるファイルは、rtcで、システムのリアルタイムクロック(RTC) 用のドライバからの出力を提供します。このRTCというデバイスは、システムがオフになっている間、 時計を動かしています。/proc/driver/rtcの出力例は次のとおりです:
rtc_time : 01:38:43 rtc_date : 1998-02-13 rtc_epoch : 1900 alarm : 00:00:00 DST_enable : no BCD : yes 24hr : yes square_wave : no alarm_IRQ : no update_IRQ : no periodic_IRQ : no periodic_freq : 1024 batt_status : okay |
RTCについての詳細情報は、/usr/src/linux-2.4/Documentation/rtc.txtを参照してください。
このディレクトリは、エクスポートされるファイルシステムを表示します。NFSサーバを稼働している場合、 cat /proc/fs/nfs/exportsとタイプすると、共有されているファイルシステムと それらのファイルシステムへの権限を表示します。ファイルシステムの共有に関する詳細は第9章で 御覧下さい。
このディレクトリにはシステム上のIDEデバイスについての情報があります。各IDEチャンネルは、 /proc/ide/ide0や/proc/ide/ide1などの個別 ディレクトリとして表されます。さらに、driversファイルも利用できます。 このファイルは、IDEチャンネル上で使用するさまざまなドライバのバージョン番号を提供します:
ide-cdrom version 4.59 ide-floppy version 0.97 ide-disk version 1.10 |
多くのチップセットはまた、さなざまなチャンネルを介して接続されているドライブに関する追加情報を このディレクトリ内に提供します。たとえば、汎用のIntel PIIX4 Ultra 33チップセットは、 /proc/ide/piixファイルを生成しますが、これにより、IDEチャンネル上の デバイス用にDMAか又は UDMAが有効かどうかわかります:
Intel PIIX4 Ultra 33 Chipset. ------------- Primary Channel ---------------- Secondary Channel ------------- enabled enabled ------------- drive0 --------- drive1 -------- drive0 ---------- drive1 ------ DMA enabled: yes no yes no UDMA enabled: yes no no no UDMA enabled: 2 X X X UDMA DMA PIO |
ide0など、IDEチャンネルのディレクトリをナビゲーションするとさらに情報が得られます。 channelファイルでチャンネル番号が、modelファイルで チャンネルのバスタイプ(pciなど)がわかります。
各IDEチャンネルディレクトリ内は、デバイスディレクトリがあります。デバイスディレクトリ名は、 /devディレクトリ内のドライブ文字に対応しています。例えば、 ide0上の最初のIDEドライブは、hdaと名付けられます。
注意 | |
---|---|
/proc/ide/ディレクトリには、これら各デバイスディレクトリの シンボリックリンクがあります。 |
各デバイスディレクトリには、一連の情報と統計値があります。これらディレクトリの内容は、 接続されているデバイスのタイプにより変わります。多くのデバイスに共通して役に立つファイルには、 次のようなものがあります:
cache — デバイスのキャッシュ。
capacity — デバイスの容量。512バイトブロック単位。
driver — デバイスを制御するために使用するドライバとバージョン。
geometry — デバイスの物理的、かつ論理的ジオメトリ。
media — diskなどのデバイスのタイプ。
model — デバイスのモデル名か番号。
デバイスの現在の一連のパラメータ。このファイルには通常、非常に多くの役に立つ技術情報が保存されています。 標準的なIDEハードディスクのsettingsファイル例は次のとおりです:
name value min max mode ---- ----- --- --- ---- bios_cyl 784 0 65535 rw bios_head 255 0 255 rw bios_sect 63 0 63 rw breada_readahead 4 0 127 rw bswap 0 0 1 r current_speed 66 0 69 rw file_readahead 0 0 2097151 rw ide_scsi 0 0 1 rw init_speed 66 0 69 rw io_32bit 0 0 3 rw keepsettings 0 0 1 rw lun 0 0 7 rw max_kb_per_request 64 1 127 rw multcount 8 0 8 rw nice1 1 0 1 rw nowerr 0 0 1 rw number 0 0 3 rw pio_mode write-only 0 255 w slow 0 0 1 rw unmaskirq 0 0 1 rw using_dma 1 0 1 rw |
このディレクトリを使用してIRQをCPUアフィニティに設定すると、特定のIRQを1つのCPUにのみ接続できます。 また、別の方法としてCPUがどのIRQも処理しないように設定することもできます。
各IRQには独自のディレクトリがあり、各IRQを異なる設定にできます。/proc/irq/prof_cpu_maskファイルは IRQディレクトリのsmp_affinityファイルのデフォルト値を保存したビットマスクです。 smp_affinityの値で、特定のIRQを処理するCPUを指定します。
/proc/irq/に関する詳細情報は以下のファイルを参照 して下さい:
/usr/src/linux-2.4/Documentation/filesystems/proc.txt |
このディレクトリでは、さまざまなネットワークのパラメータと統計情報を包括的に表示します。 各ファイルには、システムのネットワーキングに関連する情報の特定範囲が保存されています。 仮想ファイルの一部は以下のようになります:
arp — カーネルのARPテーブルが保存されています。このファイルはハードウェアアドレスを システム上のIPアドレスに接続する際、特に便利です。
atm — さまざまな非同期転送モード(ATM)の設定と 統計情報の入ったファイルのあるディレクトリ。このディレクトリはATMネットワーキングとADSLカードで おもに使用します。
dev — システム上に設定されているさまざまなネットワークデバイスと 送受信の統計情報の一覧を表示します。このファイルで、各インターフェイスが送受信したバイト数、 入出力パケット数、表示エラー数、損失パケット数などがわかります。
dev_mcast — 各デバイスがリスニングしている多くのレイヤ2マルチキャストグループを表示します。
igmp — このシステムが参加しているIPマルチキャストアドレスの一覧を表示します。
ip_fwchains — ipchainsが使用されている場合、この仮想フィルは 現在の規則を表示します。
ip_fwnames — ipchainsが使われている場合、すべてのファイアウォール チェーン名の一覧を表示します。
ip_masquerade — ipchainsの下で隠蔽情報のテーブルを提供します。
ip_mr_cache — マルチキャストルーティングキャッシュの一覧。
ip_mr_vif — マルチキャスト仮想インターフェイスの一覧。
netstat — TCPタイムアウト、送受信済みSYNクッキーなどの広範で詳細なネットワーキング 統計情報が含まれています。
psched — グローバルパケットスケジューラパラメータの一覧。
raw — 生のデバイス統計情報の一覧。
route — カーネルのルーティングテーブルを表示します。
rt_cache — 現在のルーティングキャッシュが保存されています。
snmp — 使用中の各種ネットワーキングプロトコルのSNMP(Simple Network Management Protocol) データの一覧。
sockstat — ソケット統計情報を提供します。
tcp — 詳細なTCPソケット情報が保存されています。
tr_rif — トークンリングRIFルーティングテーブル。
udp — 詳細なUDPソケット情報が保存されています。
unix — 現在使用されているUNIXドメインソケットの一覧を表示します。
wireless — ワイヤレスインターフェイスデータの一覧を表示します。
ディレクトリは、/proc/ide/ディレクトリと同様ですが、 これは、SCSIデバイス接続専用のディレクトリです。
このディレクトリの主要なファイルは、/proc/scsi/scsiです。ここには、 認識されたSCSIデバイスすべての一覧が保存されます。この一覧からデバイスのタイプ、 それと共にモデル名、ベンダー、SCSIチャンネルとIDデータが利用できます。
たとえば、システムにSCSI CD-ROM、テープドライブ、ハードディスクドライブ、RAIDコントローラが ある場合、このファイルは次のようになります:
Attached devices: Host: scsi1 Channel: 00 Id: 05 Lun: 00 Vendor: NEC Model: CD-ROM DRIVE:466 Rev: 1.06 Type: CD-ROM ANSI SCSI revision: 02 Host: scsi1 Channel: 00 Id: 06 Lun: 00 Vendor: ARCHIVE Model: Python 04106-XXX Rev: 7350 Type: Sequential-Access ANSI SCSI revision: 02 Host: scsi2 Channel: 00 Id: 06 Lun: 00 Vendor: DELL Model: 1x6 U2W SCSI BP Rev: 5.35 Type: Processor ANSI SCSI revision: 02 Host: scsi2 Channel: 02 Id: 00 Lun: 00 Vendor: MegaRAID Model: LD0 RAID5 34556R Rev: 1.01 Type: Direct-Access ANSI SCSI revision: 02 |
さらに、システムが使用する各SCSIドライバには、/proc/scsiに独自のディレクトリがあります。 ここには、そのドライバを使用する各SCSIコントローラ固有のファイルがあります。したがって、たとえば上記のシステムでは、 aic7xxxとmegaraidの2つのドライバが使用されているので、これらのディレクトリが 存在します。各ディレクトリ内のファイルには通常IOアドレス範囲、IRQ、そのドライバを使用する特定のSCSIコントローラの 統計情報が保存されています。各コントローラがレポートする情報のタイプと量は異なりますが。この例示システムで使用 しているAdaptec AIC-7880 Ultra SCSIホストアダプタのファイルは、次のような出力を生成します:
Adaptec AIC7xxx driver version: 5.1.20/3.2.4 Compile Options: TCQ Enabled By Default : Disabled AIC7XXX_PROC_STATS : Enabled AIC7XXX_RESET_DELAY : 5 Adapter Configuration: SCSI Adapter: Adaptec AIC-7880 Ultra SCSI host adapter Ultra Narrow Controller PCI MMAPed I/O Base: 0xfcffe000 Adapter SEEPROM Config: SEEPROM found and used. Adaptec SCSI BIOS: Enabled IRQ: 30 SCBs: Active 0, Max Active 1, Allocated 15, HW 16, Page 255 Interrupts: 33726 BIOS Control Word: 0x18a6 Adapter Control Word: 0x1c5f Extended Translation: Enabled Disconnect Enable Flags: 0x00ff Ultra Enable Flags: 0x0020 Tag Queue Enable Flags: 0x0000 Ordered Queue Tag Flags: 0x0000 Default Tag Queue Depth: 8 Tagged Queue By Device array for aic7xxx host instance 1: {255,255,255,255,255,255,255,255,255,255,255,255,255,255,255,255} Actual queue depth per device for aic7xxx host instance 1: {1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1} Statistics: (scsi1:0:5:0) Device using Narrow/Sync transfers at 20.0 MByte/sec, offset 15 Transinfo settings: current(12/15/0/0), goal(12/15/0/0), user(12/15/0/0) Total transfers 0 (0 reads and 0 writes) < 2K 2K+ 4K+ 8K+ 16K+ 32K+ 64K+ 128K+ Reads: 0 0 0 0 0 0 0 0 Writes: 0 0 0 0 0 0 0 0 (scsi1:0:6:0) Device using Narrow/Sync transfers at 10.0 MByte/sec, offset 15 Transinfo settings: current(25/15/0/0), goal(12/15/0/0), user(12/15/0/0) Total transfers 132 (0 reads and 132 writes) < 2K 2K+ 4K+ 8K+ 16K+ 32K+ 64K+ 128K+ Reads: 0 0 0 0 0 0 0 0 Writes: 0 0 0 1 131 0 0 0 |
この出力では、チャンネルIDに基づいてコントローラに接続されているさまざまなSCSIデバイスへの転送速度、 デバイスが読み取り/書き込みするファイルの量とサイズについての詳細な統計情報がわかります。 例えば、このコントローラは20Mビット/秒でCD-ROMと通信しており、テープドライブは10Mビット/秒で接続されて いることがわかります。
/proc/sys/ディレクトリは/proc内の他のディレクトリとは違っています。 というのは、システムに関する情報を提供するだけでなく、これによりシステム管理者は、カーネル設定をすぐに有効 または無効にする事ができます。
警告 | |
---|---|
/proc/sysディレクトリ内のさまざまなファイルを使用している 生産システム上の 設定を変更する際は注意してください。誤った設定変更によりカーネルが不安定になり、システムを 再起動しなければならなくなる可能性があります。 従って、/proc/sys内の値を変更する前に、そのファイルの有効なオプションと 予想される結果について必ず確認してください。 |
特定のファイルが設定可能なのか単に情報提供するだけなのかを判断するには、シェルプロンプトで-lを 付けて一覧を表示させます。ファイルが書き込み可能であれば、それを使用して一定の方法でカーネルを設定することができます。 たとえば、/proc/sys/fsの一覧(一部)は以下の例のような表示となります:
-r--r--r-- 1 root root 0 May 10 16:14 dentry-state -rw-r--r-- 1 root root 0 May 10 16:14 dir-notify-enable -r--r--r-- 1 root root 0 May 10 16:14 dquot-nr -rw-r--r-- 1 root root 0 May 10 16:14 file-max -r--r--r-- 1 root root 0 May 10 16:14 file-nr |
この一覧を見ると、dir-notify-enableファイルとfile-maxファイルは 書き込み可能なので、カーネル設定に使用することができます。他のファイルは現在の設定に関する情報を提供するだけです。
/proc/sys/ファイル内の値を変更するには、新しい値をファイルにエコーします。 たとえば、実行中のカーネル上のシステム要求キーを使用可能にするには、以下のコマンドを入力します:
echo 1 > /proc/sys/kernel/sysrq |
これでsysrqファイルの値は 0 (off)から 1 (on)に変更されます。
システム要求キーの目的は、単純なキーコンビネーションを使用しすばやくカーネルにインプットすることです。例えば、 すぐにシステムをシャットダウンする/再起動する、マウントした全ファイルシステムを同期化する、重要な情報を自分の コンソールにダンプする、などのためにシステム要求キーを使用することが出来ます。この機能は、開発カーネルの使用中や システムがフリーズした場合に重宝します。しかし、監視されていないコンソールにはセキュリティのリスクがありますので、 Red Hat Linuxのデフォルトではこの機能は停止されています。
システム要求キーの詳細については、 /usr/src/linux-2.4/Documentation/sysrq.txt を御覧下さい。
幾つかの/proc/sys/設定ファイルには複数の値が含まれていることがあります。その場合、 ファイルに新しい値を正確に送るために、下記の例のように、echoコマンドで渡す値の間に スペースを1個挿入します:
echo 4 2 45 > /proc/sys/kernel/acct |
注意 | |
---|---|
echoを用いて行った設定変更は、システムの再起動時に失われます。設定変更をシステムの ブート時にも有効にするには、項5.4を参照してください。 |
/proc/sys/ディレクトリには、実行カーネルの異なる側面を制御するそれぞれ異なった サブディレクトリが含まれています。
このディレクトリはシステム上の特定のデバイス用パラメータを提供します。ほとんどのシステムには 少なくとも2つのディレクトリ、cdromとraidがありますが、 カスタマイズされたカーネルはそれ以外に複数のデバイスドライバ間で1個のパラレルポートを共有できる ようにするparportなどのディレクトリを持つことができます。
cdromディレクトリにはinfoと呼ばれるファイルがあります。 多くの重要なCD-ROMパラメータを提示します:
CD-ROM information, Id: cdrom.c 3.12 2000/10/18 drive name: hdc drive speed: 32 drive # of slots: 1 Can close tray: 1 Can open tray: 1 Can lock tray: 1 Can change speed: 1 Can select disk: 0 Can read multisession: 1 Can read MCN: 1 Reports media changed: 1 Can play audio: 1 Can write CD-R: 0 Can write CD-RW: 0 Can read DVD: 0 Can write DVD-R: 0 Can write DVD-RAM: 0 |
このファイルを一瞥すると少なくともカーネルには未知のCD-ROMのクオリティを知ることができます。 システム上で複数のCD-ROMが利用できる場合、各デバイスにはそれぞれの情報列が与えられます。
autocloseやcheckmediaなど、/proc/sys/dev/cdrom内の さまざまなファイルは、システムのCD-ROMを制御するために使用できます。これらの機能をオンまたはオフにするには、 echoを用います。
RAIDサポートをカーネルにコンパイルした場合、/proc/sys/dev/raid/ディレクトリは 少なくとも2つのファイルspeed_limit_minとspeed_limit_maxと 共に利用できるようになります。こうした設定は、ディスクの再同期化など特に入出力の激しいタスクでRAIDデバイスが 使用される場合の速度の調節に活用できます。
このディレクトリには、quota、file handle、inode、dentry情報を含むファイルシステムに 関するさまざまな側面について多くのオプションと情報が格納されています。
binfmt_miscディレクトリは、さまざまなバイナリフォーマットにカーネルサポートを 提供するために使用されます。
/proc/sys/fs内の重要なファイルには、 以下のようなものがあります:
dentry-state — ディレクトリキャッシュのステータスを提供します。 このファイルは以下のようになっています:
57411 52939 45 0 0 0 |
1番目の数はディレクトリキャッシュエントリの総数を示し、2番目の数は未使用エントリ数を示します。 3番目の数はディレクトリの開放から再要求できるまでの秒数を示しています。4番目の数は現在システムが 要求しているページ数です。最後の2つの数は未使用で、現在0のみを表示します。
dquot-nr — キャッシュされたディスククォータ(割り当て)エントリの最大数を示します。
file-max — カーネルが割り当てるファイルハンドルの最大数を変更することができます。 このファイルの値を大きくすると、利用可能なファイルハンドルの不足によるエラーを解消することができます。
file-nr — 割り当てられたファイルハンドル数、使用されたファイルハンドル数、 ファイルハンドルの最大数を表示します。
overflowgid とoverflowuid — 16ビットグループIDとユーザーIDを サポートするだけのファイルシステムと共に使用するため、それぞれ固定グループIDとユーザーIDを定義します。
super-max — 利用可能なスーパーブロックの最大数を制御します。
super-nr — 使用中のスーパーブロックの現在数を表示します。
このディレクトリにはカーネルの動作に直接影響するさまざまな異なる設定ファイルが格納されています。 最も重要なファイルには以下のようなものがあります:
acct — ログがあるファイルシステム上で利用可能な空き領域の割合に基づき、 プロセスアカウンティングの休止を制御します。デフォルトでは、ファイルは以下のようになっています:
4 2 30 |
1番目の値はロギングのリジュームに必要な空き領域の割合を決定し、2番目の値はロギングが サスペンドした場合の空き領域のしきい値の割合を設定します。3番目の値はファイルシステムが ロギングをサスペンドするかリジュームするかを確認するためにカーネルがポーリングする間隔を 秒単位で設定します。
cap-bound — ケーパビリティバウンディング設定を制御します。 システム上の任意のプロセスが実行可能なケーパビリティの一覧を提供します。ここに表示されないケーパビリティについては、 どのような特権が与えられていても、そのプロセスを実行することはできません。ブートプロセス時に少なくともあるポイント から以降は、特定の事項が生じないようにすることでシステムの安全をさらに確保する基本姿勢です。
この仮想ファイルの値に関する有効な一覧は/usr/src/linux-2.4/include/linux/capability.hで 御覧下さい。ケーパビリティバウンディングに付いての詳細は、以下のオンライン URLで確認して下さい:http://lwn.net/1999/1202/kernel.php3。
ctrl-alt-del — initを使用し
domainname — example.comなどシステムのドメイン名を 設定することができます。
hostname — www.example.comなどシステムのホスト名を 設定することができます。
hotplug — システムが設定変更を検出した場合に使用するユーティリティを設定します。 これは主としてUSBとカードバスPCIで使用されます。/sbin/hotplugのデフォルト値は、 この役割を果たすために新しいプログラムをテストする場合をのぞいて変更してはいけません。
modprobe — 必要に応じてカーネルモジュールをロードするために使用される プログラムのロケーションを設定します。/sbin/modprobeのデフォルト値は、 カーネルスレッドがkmodをコールする時に、実際にモジュールをロードするために kmodがコールを行うことを示します。
msgmax — プロセス間で送信されるメッセージの最大サイズを設定します。 デフォルトは8192バイトです。プロセス間のキューメッセージはスワップできない カーネルメモリに格納されるので、この値を大きくする場合は注意が必要です。msgmaxが増大すると システムに対するRAMの要求も増大することになります。
msgmnb — 単一メッセージキューの最大バイト数を設定します。デフォルトは 16384です。
msgmni — メッセージキュー識別子の最大数を設定します。 デフォルトは16です。
osrelease — Linuxカーネルリリース番号を一覧表示します。このファイルを 変更するにはカーネルソースを変更し再コンパイルするしかありません。
ostype — オペレーティングシステムの種類を表示します。デフォルトでは、 このファイルはLinuxに設定されています。この値を変更するには カーネルソースを変更し再コンパイルするしかありません。
overflowgid と overflowuid — 16ビットのグループIDと ユーザーIDしかサポートしないアーキテクチャ上でシステムコールと共に使用するために、それぞれ固定グループIDと ユーザーIDを定義します。
panic — カーネルパニックが生じたときカーネルがシステムの再起動を 延期する秒数を定義します。デフォルトでは、パニック後に自動再起動しないよう 0に設定されています。
printk — このファイルは、印刷かロギングエラーメッセージに関するさまざまな 設定を制御します。カーネルがレポートするエラーメッセージにはメッセージの重要度を定義する ログレベルが含まれています。ログレベル値の意味は以下のよう順で分類されます:
0 — カーネルエマージェンシー。システムを使用できません。
1 — カーネル通報。直ちに何らかの対策を講じる必要があります。 a
2 — カーネルの状態が危機にあるとみなされます。
3 — 一般カーネルエラー状況。
4 — 一般カーネル警告状況。
5 — 正常だが重大な状況にあるというカーネル通知
6 — カーネル情報メッセージ。
7 — カーネルデバッグレベルメッセージ。
printkファイルには4つの値があります。
6 4 1 7 |
これらの値は、それぞれ異なるエラーメッセージ処理方法を定義します。1番目の値は コンソールログレベルと呼ばれ、コンソールに出力される 優先度が最も低いメッセージを定義します(優先度が低いほどログレベル数が大きいことに注意)。 2番目の値は、メッセージに添付される明確なログレベルがないデフォルトのログレベルを設定します。 3番目の値はコンソールのログレベルでは最低限のログレベル設定をします。最後の値は コンソールログレベルのデフォルト値を設定します。
rtsig-max — システムが1度にキューに入れるPOSIXリアルタイムシグナルの最大数を設定します。 デフォルト値は1024です。
rtsig-nr — カーネルがキューにしたPOSIXリアルタイムシグナルの現在数です。
sem — このファイルはカーネル内のセマフォシグナルを設定します。 セマフォは特定プロセスの利用を制御するために使用されるSystem V IPCオブジェクトです。
shmall — システム上で1度に使用可能な共有メモリの合計(単位はバイト)を設定します。 この値はデフォルトでは2097152に設定されています。
shmmax — カーネルが許可する最大共有メモリセグメントのサイズ(単位はバイト)を設定します。 この値はデフォルトでは33554432に設定されています。ただし、カーネルは これ以上の値でもサポートします。
shmmni — システム全体の共有メモリセグメントの最大数を設定します。(単位はバイト)。 この値はデフォルトでは4096です。
sysrq — デフォルトの0以外の値に設定されている場合、 システム要求キーをアクティブにします。システム要求キーに関する詳細は項5.3.9 で御覧下さい。
threads-max — カーネルが使用するスレッドの最大数を設定します。デフォルト値は 2048です。
version — カーネルが最後にコンパイルされた日付と時間を表示します。 #3など、このファイルの最初にあるフィールドはカーネルがソースベースから コンパイルされた回数に関係しています。
The random ディレクトリには、カーネルのための乱数生成に関連した多数の値が格納されます。
このディレクトリには、ネットワーキングトピックに関係するさまざまなディレクトリが含まれています。 カーネルのコンパイル時の構成により、appletalk、ethernet、 ipv4、ipx、ipv6など、利用可能な異なる ディレクトリが作成されます。これらのディレクトリ内で、管理者は実行中のシステム上のネットワーク設定を 調節することができます。
Linuxでは多種多様なネットワーキングオプションを利用することができますが、最も一般的な /proc/sys/net/ディレクトリについてのみ説明します。
/proc/sys/net/core/ディレクトリには、カーネルとネットワークレイヤーとの 相互作用を制御するさまざまな設定が含まれています。その中で最も重要なファイルは次のように なります:
message_burst — 新しい警告メッセージを書き込むために必要な時間(10分の1秒単位)。 これはDoS(Denial of Service)攻撃を防止するために使用されます。デフォルトでは50に 設定されています。
message_cost — 警告メッセージに費用を課すことでDoS攻撃を防止するために使用されます。 このファイルの値(デフォルトは5)が大きいほど、警告メッセージは無視される ことが多くなります。
DoS攻撃の目的は、攻撃対称のシステムに大量の要求をかけて、エラーを発生させ、そのディスク パーティションをログファイルで満杯にするか、又はこのエラーログの処理にシステムリソースの 全てを要求することです。message_burstとmessage_costの 設定は、使用するシステムが受入可能なリスクとロギング全体のニーズに基づいて変更できるよう設計 されています。
netdev_max_backlog — 特定のインターフェイスがカーネル処理速度以上のパケットを 受け取った場合、キューに入れることができるパケットの最大数を設定します。このファイルのデフォルト値は 300です。
optmem_max — ソケットごとに許可された補助バッファの最大サイズを設定します。
rmem_default — 受け取りソケットバッファのデフォルトサイズ(単位はバイト)を 設定します。
rmem_max — 受け取りソケットバッファの最大サイズ(単位はバイト)を設定します。
wmem_default — ソケットバッファ送信のデフォルトサイズ(単位はバイト)を設定します。
wmem_max — ソケットバッファ送信の最大サイズ(単位はバイト)を設定します。
/proc/sys/net/ipv4/ ディレクトリには、追加ネットワーク設定が含まれます。 こうした設定の多くを相互に関連させて使用すると、システムへの攻撃を防止するため、あるいは、 ルーターとしてシステムを用いる場合に非常に役に立ちます。
用心 | |
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これらのファイルで変更にミスをするとシステムへのリモート接続に影響が生じる可能性があります。 |
/proc/sys/net/ipv4/ディレクトリの最も重要なファイルは、以下のようになっています:
icmp_destunreach_rate, icmp_echoreply_rate, icmp_paramprob_rate 及び icmp_timeexeed_rate — 特定の条件でホストに対する最大ICMP送信パケットレート (100分の1秒単位)を設定します。0に設定すると遅延がなくなるので、 お勧めできません。
icmp_echo_ignore_all と icmp_echo_ignore_broadcasts — カーネルがあらゆるホストから来るものや、 ブロードキャストアドレスとマルチキャストアドレスのみから生じるICMP ECHOパケットを無視できるようにします。 カーネルは0でパケットに応答し、1で 無視します。
ip_default_ttl — デフォルトのTTL(Time To Live)を設定します。 これはパケットが目的地に到着する前にホップする回数を制限します。この値を大きくするとシステムパフォーマンスが 低下する可能性があります。
ip_forward — システム上のインターフェイスがパケットを互いに転送することを許可します。 デフォルトでは、0に設定されています。このファイルを1に セットすると、ネットワークパケットを転送できます。
ip_local_port_range — ローカルポートが必要なときTCPかUDPで使用するポートの範囲を 指定します。1番目の数は使用する最小ポートで、2番目の数は最大ポートを指定します。デフォルトの1024〜4999より多い ポートを必要とすることが予想されるシステムでは、このファイルで32768〜61000の範囲にします。
tcp_syn_retries — システムが接続時にSYNパケットを再伝送する回数を制限します。
tcp_retries1 — 着信接続に応じることが許可された再伝送回数を設定します。 デフォルトは3です。
tcp_retries2 — 許可されたTCPパケットの再伝送回数を設定します。 デフォルトは15です。
The /usr/src/linux-2.4/Documentation/networking/ip-sysctl.txt ファイルには、/proc/sys/net/ipv4/ディレクトリで利用できる ファイルとオプションの総合的一覧があります。
/proc/sys/net/ipv4/ディレクトリ内にある他の多くのディレクトリは固有のトピックを扱います。 /proc/sys/net/ipv4/conf/ディレクトリによって、各システムインターフェイスは各種の設定を 行うことが可能になります。これには、(/proc/sys/net/ipv4/conf/default/サブディレクトリの) 未設定デバイスの為のデフォルト設定や(/proc/sys/net/ipv4/conf/all/サブディレクトリの)特別な 設定をすべて上書きする設定が含まれます。
/proc/sys/net/ipv4/neigh/ディレクトリには、システムに直接接続されている ホスト(隣接ネットワークと呼ぶ)との通信の為の設定があり、少々遠いシステムの為の別の設定も 含まれています。
IPV4上のルーティングにも独自のディレクトリ/proc/sys/net/ipv4/route/が あります。conf/ や neigh/と異なり、/proc/sys/net/ipv4/route/ ディレクトリにはシステム上のインターフェイスにルーティングを適用する仕様が含まれています。max_size、 max_delay、min_delayなど設定の多くはルーティングキャッシュのサイズの 制御に関係しています。ルーティングキャッシュをクリアするには、flushファイルに任意の値を書き込む だけです。
これらのディレクトリや設定ファイルの値に関する詳細については、 /usr/src/linux-2.4/Documentation/filesystems/proc.txtを参照して下さい。
このディレクトリは、Linuxカーネルの仮想メモリ(VM)サブシステムの設定を援助します。 カーネルは仮想メモリを広範囲かつインテリジェントに使用します。これは一般にスワップ領域と呼ばれます。
以下のファイルは、通常/proc/sys/vm/ディレクトリにあるものです:
bdflush — bdflushカーネルデーモンに関係するさまざまな値を設定します。
buffermem — バッファメモリに使用する全システムメモリの割合を制御することができます。 このファイルの出力は通常、以下のようになっています:
2 10 60 |
最初と最後の値は、バッファメモリとして使用するメモリの最小と最大をそれぞれ設定します。 中央の値はバッファメモリで使用するシステムメモリの割合を設定しますが、その場合メモリ管理サブシステムは フリーメモリの不足を埋め合わせるため他のメモリ以上にバッファキャッシュのクリアを開始します。
kswapd — カーネルスワップアウトデーモンkswapdに関係する さまざまな値を設定します。このファイルには3つの値があります:
512 32 8 |
1番目の値はkswapdが1度でフリーにしようとするページの最大数を設定します。 この値が大きいほど、カーネルは積極的にページをフリーにしようとします。2番目の値はkswapdが ページをフリーにしようとする最小回数を設定します。3番目の値はkswapdが1度に書き込もうと するページ数を設定します。この最後の値を適正に調節すると、カーネルにページを大量に書き込みディスク検索を 最小限にするよう命じることで多くのスワップ領域を使用する、システム上のパフォーマンスを改善することができます。
max_map_count — プロセスが持つメモリマップエリアの最大数を設定します。 ほとんどの場合、デフォルト値として65536が適切です。
overcommit_memory — デフォルトの値0に設定されていると、 カーネルは利用できるメモリの容量を推定し、無効な要求には反応しません。残念ながらメモリは精密なアルゴリズムではなく、 発見的なアルゴリズムを使用している為、時としてシステムをオーバーロードすることが有ります。
overcommit_memoryが1に設定してある場合、 システムオーバーロードの可能性は上がります。但し、幾つかの科学的ソフトウェアで使用されている メモリ集中型のタスクのパフォーマンスも向上します。
メモリのオーバーコミットのリスク低減を好むユーザーの為に次の2つのオプションが 追加されています。overcommit_memoryを2に 設定すると、メモリ要求が物理RAMの半分とスワップの合計を越える場合は、不履行になります。 3の設定では、メモリ要求がスワップの対応容量を越えるまで追加された 場合、不履行になります。
pagecache — ページキャッシュが使用するメモリ量を制御します。 pagecacheの値はパーセントで、利用可能なページキャッシュメモリの最小と最大を 実行するためbuffermemと似た方法で機能します。
page-cluster — 1度で読み取るページ数を設定します。 デフォルト値は4で、これは実際には16ページになりますが、 ほとんどのシステムで適切な値です。
pagetable_cache — プロセッサベース単位でキャッシュされるページテーブル数を 制御します。1番目と2番目の値は、それぞれ予備配置されるページテーブルの最小数と最大数になります。
こうしたさまざまなファイルの詳細については、/usr/src/linux-2.4/Documentation/sysctl/vm.txt ファイルを参照してください。
このディレクトリにはSystem V IPCリソースに関する情報が含まれています。このディレクトリ内のファイルは、 メッセージ(msg)、セマフォ(sem)、共有メモリ (shm)に対するSystem V IPCコールに関係しています。
このディレクトリにはシステム上で利用可能な現在使用されているttyデバイスに関する情報が格納されています。 従来teletype deviceと呼ばれていたもので、キャラクタベースのデータ端末がttyデバイスと 呼ばれます。
Linuxには3種類のttyデバイスがあります。シリアルデバイスはモデムやシリアルケーブルなどを
使用する接続に使用されます。仮想端末は、システムコンソールで
serial /dev/cua 5 64-127 serial:callout serial /dev/ttyS 4 64-127 serial pty_slave /dev/pts 136 0-255 pty:slave pty_master /dev/ptm 128 0-255 pty:master pty_slave /dev/ttyp 3 0-255 pty:slave pty_master /dev/pty 2 0-255 pty:master /dev/vc/0 /dev/vc/0 4 0 system:vtmaster /dev/ptmx /dev/ptmx 5 2 system /dev/console /dev/console 5 1 system:console /dev/tty /dev/tty 5 0 system:/dev/tty unknown /dev/vc/%d 4 1-63 console |
/proc/tty/driver/serial ファイルは各シリアルtty行の使用統計とステータスの一覧を示します。
ttyデバイスをネットワークデバイスと同様の方法で使用できるようにするため、Linuxカーネルはデバイスの 回線制御を強化します。これにより、ドライバはデバイス上で伝送されるデータブロック毎に 固有のヘッダーを付けることができます。接続のリモートエンドでデータブロックを1本のストリームのように 見せることが可能です。SLIPやPPPは一般的な回線制御で、それぞれ一般にシリアルリンクでシステムを接続するために 使用されます。
登録した回線制御はldiscディレクトリで利用可能な詳細情報とともに ldiscsファイルに格納されます。