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6. Linux マシンで GRASS を動かすには

付録 A B C は GRASS の入手方法とインストールのしかたについて解説している。
GRASS を実際にインストールする前に、システムのどこに入れるかを決めなければ ならない。

  1. GRASS のバイナリとソース・コード、man とドキュメントその他は慣例に したがえば、/usr/local (たとえば /usr/local/grass/bin, /usr/local/grass/src) に入る
  2. GRASS の実行形式と gmake ユーティリティは、/usr/local(たとえば /usr/local/grass/grass4.1 と gmake4.1 もしくは /usr/local/bin/grass4.1 と gmake4.1)に入る
  3. GRASS のデータ領域はどこでもかまわない。設定ファイルで指定すればよい

私はここ 10 年ほど上記とは異なる構成で使用しています。GRASS のコード、バイ ナリ、その他(ユーザのデータは除く)すべては、「grass」という特定のユーザが オーナーになっています。というのは、システム全体に GRASS が散らばってしま わないようにするためです。/user という新しいディレクトリ(普通は独立した ファイル・システム上)を作成し、GRASS 関連をすべてそこに入れます。たとえば 下記のように。

/user/grass4.1/bin   (普通 grass4.1 と gmake4.1 をここに置いてます)
              /data
              /dev
              /etc
              /man
              /src
              /src.alpha
              /src.contrib

GRASS5.0 は下記のように構築しています。

/user/grass5/bin
            /data   (GRASS5 のデータ形式がいくつか変更されたので...)
            /dev
            /etc

GRASS のインストール・ガイド( 参考文献付録 C で解説してあります)は、もし 付録 A B を見てバイナリをインストールするだけ の場合でも GRASS を取ってきたり、動作させる時にたいへん参考になります。
見過ごしてはいけない重要なことがあります。GRASS のインストールは、ソフト ウエア管理のアカウントとそのアカウントと同じ UNIX のパーミッションを持たな いユーザで行うことです。まず「grass」(「」は強調表現のためで、実際のユーザや ユーザ ID には使わないでください)というユーザ・アカウントをワークステーション 上につくります。すべてのインストールと設定作業は、「grass」というユーザで 行ってください。tar や cpio を使ってファイルを展開し、設定のセットアップを 行うユーティリティを動かしてください。Gmakefile(GRASS 版の makefile) を走ら せ、「grass」ユーザで設定ファイルを編集してください。そうしたら「grass」 ユーザで GRASS を実行してください。grass ユーザで実行するのは「まれ」なこと です(私が「grass」ユーザで実行する時は、ずっととって置きたいマップセットを アーカイブする場合だけです)。同じ理由で決して「root」で実行しないでください。 とんでもないことになります!

これら付録の解説や GRASS インストール・ガイドの情報の他にもさらにしなければ ならないことがあります。それはデータベースの構築です。サンプルのデータベース は USA/CERL から取ってこられます ( ftp://moon.cecer.army.mil/pub/grass/grass4.1/release/data に あります)。まず GRASS プログラマーズ・マニュアルの解説にしたがって最初から 作ることも可能です(少なくとも GRASS ユーザ・リファレンス・マニュアルの機能 の解説の所にその方法が埋もれています)

個人的には、USA/CERL にある Spearfish 及び Global データベースからはじめ るのがいいと思います。

  1. Spearfish データベースは米国のサウスダコタ州のブラックヒルズ北部の 7.5 分の範囲の地形を 2 層で表している。投影法はユニバーサル横メルカトル 図法を使用している。オリジナルは、Larry Batten 氏によって作成された。 [彼は現在、コロラド州ボールダーの環境システム研究所(the Environmental Systems Research Institute)に所属し、当時は地質調査所(the U. S. Geological Survey)管轄のサウスダコタ州にある地球資源観測衛星データセンター(EROS Data Center) に所属していた]。データベースは、USA/CERL とその協力者によって 改良され、素晴らしい出来となった。ユニバーサル横メルカトル図法を用いた州 レベルの投影法の例としてよく利用されている(このデータベースを使った GRASS 用の教材が数多く利用できる)
  2. Global データベースは、USA/CERL の Bob Lozar 氏によって開発され、 緯度と経度で表現された「投影図法」(以下、緯度-経度投影図法と表す) データベースのプロトタイプである。これは GRASS における地球環境調査と意志 決定支援を目的に開発された

まずこれら 2 つの例からはじめれば、後は自分でユニバーサル横メルカトル図法 や緯度経度投影図法データベースを構築することができるようになるでしょう。 (注意:緯度-経度投影図法を投影図法とは普通呼びません。また地球の 表面を二次元で表現したものが投影法だ、という見方もあります。ここではこれ 以上の議論はもう行ないません。いうまでもなく、コンピュータ・プログラムは、 緯度-経度投影図法を他の投影法と同様に扱うからです)


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