次のページ 前のページ 目次へ

2. LVM とは?

ずっと以前から、パーティションの大きさは一度決めたらそのままです。システム を導入する方は「このパーティションにどのくらいのデータを入れようかな」と 考えるというよりは、「『そもそも』このパーティションにどのくらいのデータを 入れるんだろう」と自問自答しなければなりません。ユーザがパーティションの空き を越えて使おうとすると、パーティションを切り直すか(システムの再インストール もありえます)、シンボリック・リンクなどのスマートとは言えない方法で修正 しなければなりません。

これまでパーティションは、物理的なディスク上の連続したブロックである、 という考え方にならってきました。最近の UNIX ライクなシステムのほとんどは、 物理的に複数のディスクを分割して、いくつかのユニットとして扱う機能を 備えています。 複数のドライブから成る記憶装置のユニットをまとめて「論理ボリューム」とし、 各パーティションに割り振れます。さらにこのユニットは、空きの調整が必要と なった時に、パーティションに対して追加や削除が行えます。

これが論理ボリュームマネージャ(LVM)の基本です。

たとえば 1 GB のディスクを持っていて、「/home」パーティションに 600 MB 割り当てるとします。空きが無くなって、「/home」に 1 GB 必要になったと 考えてみてください。今までのパーティションの考え方だと、少なくとも 1 GB の大きさを持つ他のドライブを用意するしかありませんでした。そしてできる ことはといえば、ディスクを追加し、新しい「/home」を作成し、既存のデータの コピーをすることです。

ところが LVM での設定は、ただ 400 MB(もしくはそれ以上の)ディスクを追加 するだけです。その記憶ユニットを「/home」パーティションに追加するのです。 別のツールを使えば、既存のファイルシステムの大きさを変更できます。こう してサイズを変更し、大きなサイズのパーティションのありがたさを感じつつ、 本来の仕事を再開できます。

LVM は「スナップショット」という非常にユニークな機能を持っていて、ある決まった 時点でのファイルシステムの内容をバックアップすることができます。 この興味をそそる機能が、実際に様々な用途に応用できることについては、後程 触れたいと思います。

次のセクションでは LVM の基本と、LVM が採用している考え方のポイントの 数々を説明します。


次のページ 前のページ 目次へ