Chapter 16. カスタムカーネルの構築

 Linuxは初めてという人は、「なぜ独自のカーネルを構築する必要があるのだろうか」という疑問をよく抱きます。現在ではカーネルモジュールが改善されているので、この疑問に対する最も正確な答えは次のようになるでしょう。「今、独自のカーネルを構築する必要性を感じていなければ、構築しなくてもよい。」

 以前は、システムに新しいハードウェアを追加した場合にはカーネルを再コンパイルする必要がありました。つまり、カーネルは静的なものでした。しかし、Linux 2.0.xではカーネルが改良され、ハードウェアドライバの多くをコンポーネントとしてモジュール化でき、要求があった場合にのみ組み込めるようになりました。しかしそれでも、システムについての設定オプションを変えて(たとえば、SMPカーネルとUPカーネル)コンパイルされたカーネルが複数ある場合には問題がありました。ところが、Linux 2.4.xのカーネルモジュール化方式がさらに改良され、複数モジュールの共存が容易になりました(ただしモジュールを共有することはできません)。

 カーネルモジュールの取り扱いについては、the section called カーネルモジュールのロードを参照してください。このようにカーネルモジュールの処理方法は変遷してきましたが、これに気づくことはほとんどないでしょう。気づくのは、システムに合わせてカーネルをカスタマイズし再コンパイルするときぐらいです。

2.4カーネル

 現在、Red Hat Linuxのカーネルは、2.4です。Red Hat Linuxと共に出荷されている2.4カーネルの特徴は、次のとおりです。