この時点で圧縮形式のルートファイルシステムは完成しています.次のステッ プはカーネルを構築または選択することです.ほとんどの場合は現在使ってい るカーネルをコピーし,それで作ったフロッピーからブートすればよいでしょ う.それでも別のカーネルを作りたい場合もあることでしょう.
理由の1つは大きさです.1枚のブート/ルートディスクを作る場合,カーネル はフロッピー中で最大に近いファイルになるはずです.そこで,カーネルのサ イズをできるだけ小さくしておく必要があります.カーネルのサイズを小さく するには,サポートする機能をシステムに必要な最小限のものに絞ってカーネ ルを構築します.つまり,不要なものを全て外すのです.ネットワーク機能は 外してよいでしょうし,ブート/ルートシステムでは不必要なディスクやその 他のデバイスも外せるでしょう.ただし,既に述べたように RAM ディスクと ext2 はカーネルに組み込んでおかなければなりません.
カーネルに持たせる最低限の機能が決まったら,次はカーネ ルに戻すものを決める必要があります.ブート/ルートフロッピーのシステム を使う一般的なユーザの多くは多分壊れたルートファイルシステムの検査と復 旧を行おうとしているのでしょうから,これを行うためのカーネルのサポート が必要でしょう.例えば,バックアップが全て ftape を使ってテープに入れ られており,かつ現在ルートにしているドライブと ftape が入っているドラ イブが壊れてしまった場合,バックアップテープから復旧を行なうことはでき ません.こうなってしまったら,Linux を再インストールして ftape を入手・インストールし,それからバックアップの読み出しを行わなければな りません.
つまり重要なのは,通常のカーネルに組み込んでいるバックアップ用の I/O サポートは,ブート/ルートのカーネルにも組み込んでおくべきだということ です.
実際にカーネルを構築するための手順は,カーネルに付属の文書で説明されて
います.これはとても簡単なので,まずは /usr/src/linux を
ご覧ください.カーネルもちゃんと作れないようならば,ブート/ルートディ
スクを作ろうと考えるのはやめた方がいいでしょう.``make zImage
''
でカーネルを圧縮することを忘れないでください.